勝負事と心
わたしは負けず嫌いだ。
負けるのが嫌いというか、怖いのだと思う。
負けを突きつけられて、それを認めたあとの自分をなぜだかとても恐れている。
だからいつも、勝負事から逃げてしまう。
世の中を生きていく上で、大多数が通らなくてはいけないことも、うまく逃げ道を見つけてすり抜けてきた。
他人と比較されることを極端に嫌っているし、だから無意味に順位をつけられることも嫌いだ。
受験も、そこまで勉強もせずに中学受験をさせてもらって、そのまま大学まで進学したし、
就職活動も、スタンダードな形を踏んだわけではない。
だからこそ、これから社会に出たあとにくっきりと出てしまう評価という順位が、こわくて仕方ない。
一見、自由で人の目を気にしていなさそうと言われるけれど、わたしは人一倍、不特定多数の目を恐れて生きている。
誰かに嫌われ、否定され、貶められることがほんとうにこわい。わたしをみて悪い噂をしているのではないか?と疑ってしまう。
その反面、そこまで人は他人に興味がない、ということも頭のどこかではわかっている。
でも、こわい。自分の考えを、生きてきた道を、否定されることが、こわい。
だけど、わたしは家族や恋人、友人といった周りの人間に恵まれていると自負している。
わたしを無条件に信じて、愛して、そして一緒に笑ったり泣いたりしてくれる人たちがいる。
そのことがとても支えになっているし、ひとりで戦うわけじゃないと思える。
4月から放り出される茨の道では、きっと否定されることもある。強く言われることもある。今までのように、居心地の良い人たちだけに囲まれて過ごせるわけではない。
だから、4月からのわたしの目標は、プライベートと仕事を切り離して、2つの顔と心を持つこと。そうすれば、仕事と割り切って心無い言葉もはねつけられる気がする。
プライベートで愛し愛してくれる人たちと、存分に時間を共有できたらいい。
オンとオフを分けることがきっと、心の脆いわたしが生きていく術だ。